JAZZ LABO BLOG

 矢堀孝一 JAZZ道

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今回はメトロノームについてお話しをしてみましょう。かつて、多くの家庭に
はピアノがあり、その上には台形で、左右に動く棒の付いたメトロノームがあり
ました。メトロノームのはじき出す周期的かつ一定のビートを聴きながら練習す
るのは「良いこと」だったということでしょう。近年といってももう20年以上も
前からですが今やそうしたメトロノームはやや影を潜め、デジタルのコンパクト
なものが主流になっています。中には3連符であるとか、16分の組み合わせ等が
プログラムできる高級なものもあるようですが、僕の意見としては一定のビート
を出せれば他の機能は全く必要ないと思っています。皆さんはメトロノームをい
つも使って練習していますか?恐らく、普及率という点ではかなりのパーセン
テージになると思われますが、頻度という点ではどうでしょうか。勝間式で言う
なら5,000円のメトロノームを年間で毎日使用したら1回あたり約13円です。こ
んなオトクな商品が他にあるでしょうか。
 メトロノームを使って練習する場合、自分が明確に何音符を弾くのかが予めわ
かっていれば効果があります。なんとなく弾いているだけでは、テンポに対して
自分がどういう譜割りで弾くのかが定かではなく、結果的にはテンポを変えてい
るのに演奏のスピードが変わってない、なんてことだって起こります。これでは
メトロノームは全く意味がありません。また、スケールの練習にはメトロノーム
を使うけど、曲を弾いたり、ソロを弾いたりするのには使わないという人もいる
かもしれませんね。これもあまりいいとは言えません。あまりにも「練習」と
「演奏」を区別しすぎるのはどうなんでしょうか? かつて、ジョン・スコ
フィールドに会った時に彼に「どのような練習をよくやっているか?」尋ねたと
ころ、「練習...。練習か...。家でも『演奏』してるからな。。練習と思って弾くこ
とはそういえばあんまりないな。例えばそうだな、ブルースをメジャーのペンタ
のみで弾き続けるとか、そういうのは練習かもね。」と言っていたのを思い出し
ます。僕の場合は、自分が演奏する曲をメトロノームの4分裏や8分裏でテーマや
ソロも含めて演奏します。こうすると、自分がリズムをキチンと把握できていな
い箇所がわかってきます。パット・メセニーはクリニックで「徹底的に裏打ちで
練習した」と言っていました。
 メトロノームの効果に、実は「テンポを遅くキープさせる」というものがあり
ます。例えば6連のスピーディなフレーズなど、メトロノームがないとついつ
い、ずるずると速めに弾いていい気になってしまったりしますが、メトロノーム
を使えば、ある程度のテンポでそれを押さえることができます。上達には「いか
に遅く緻密に弾くか」が重要なポイントです。ある程度のスピードなら弾けるけ
ど、遅くなると弾けないというのは何か問題があるどころか、大問題です。ス
イープ奏法の練習なんかがいい例だと思いますが、ツルツルツル~と弾いて気持
ちいいとしてもどんなテンポで何音符を弾いているのかが具体的にわからない以
上は使い物になりません。逆にもの凄くキレイに遅いテンポで弾ければそれはそ
れでスイープとは気づかれずに使えます。実際のテンポよりも相当遅く「抑え
た」上でグルーブが感じられるようにすることがポイントです。こうすればライ
ブの時などに必要以上に速く弾いてしまったり、「走る」ようなことがなくなっ
てくるはずです。速く弾かないとなんとなく気持ちが悪いのはやはり問題がある
んですよ。
 それはそうと、僕は色々なメーカー、特に親交の深いローランドさんには常
々、テンキーでテンポ設定できるまるで見た目が電卓のメトロノームを開発して
くれ、と言ってきましたが、どうも出してくれません(笑)。あのちっこいボタ
ンで上下にぬるぬると数字を変えていく操作が我慢できないんです。テンキーが
あれば一発で好みのテンポに飛べます。サポート・バンドのドラマーさんにもこ
れは便利なんではないでしょうか。いちいちプログラムしなくてもテンキーでそ
のテンポを打ち込めば一発でテンポがわかるっていうわけです。因みに一応、
KORGさんのちょっと高級な「ビート・ボックス」的なものにはテンキーがついて
いますが、やや機能が豊富すぎと思います。誰かお願いします(笑)。

 矢堀孝一

2010年7月27日 11:16
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